2010年5月7日

ポゴレリッチ・リサイタル

コアなファンならついて行けたのだろうか
90年代の「型破り」までしか知らなかった私には無理だよ、
というコンサート。

こういうことを書くと評論もどきをやっている身には「おいおい知ってろよ」とお叱りが飛んできそうで藪蛇なのだが、ポゴレリッチは、いつからここまでトランスしてしまったのだろうか。

チラシを見た途端、彼氏のいるタイプだと判明するポゴレリッチが持参したのは、かぎりなく正統派のプログラム。
 ショパン : 夜想曲 変ホ長調 op.55-2
 ショパン : ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
 リスト : メフィスト・ワルツ第1番
 シベリウス : 悲しきワルツ
 ラヴェル : 夜のガスパール

だが、まるでオールウェイズ・カデンツァ。
どの曲を聴いても「この曲知っているかも」と思ってしまうような崩しブリで、どう考えても「個性」や「解釈」の域を超えている。

92年だったか、ボプ・ディランの来日公演を聴いたカタヤマ先生が、両手をワサワサふるわせながら
えっと、もともとボブディランに上手く歌うことなんて期待していないけれどぉ
いくら詩人でもぉ
もうぜんぜん歌じゃなくなっているかんじ
とおっしゃっていたのを思い出させる類の演奏。
よく言えば、貴腐ワインの爛熟とでも言おうか。

いやいや、そんなふうに持ち上げる必要ないなあ。

しかも、
こんなにメジャーな曲を並べた「リサイタル」なのに譜めくりが居て、曲間にペダルの下でごそごそ楽譜を探すというパフォーマンス付。
つまらないことを言うようだが、リサイタルっていう言葉には「暗唱」の意味もあるんですよお。

友人から贈られたS席チケットにクラクラとして、さやかをシッターさんに預けて出かけたコンサート。
どんな内容であれ「目撃」することは大切だから、足を運んだこと自体は後悔していないけれど、子供を2時間も人に預けてつきあうほどの内容ではなかった。

休憩なしで、リストの後に、飛び入りで付け足されたブラームスの《間奏曲》が終わると、時すでに8時45分。
私はこの時点で退出させていただいたが、《夜のガスパール》まで聴いたお客さんが家路につくのは、何時頃だろう。

収穫は、協賛団体一覧を検索して、西日本新聞民生事業団というものを知ったこと。
児童福祉施設の中学生に入学や卒業のお祝い品をプレゼントしたりしている由。

それにしても1階28列28番をS席で売るか、NASAコーポレーション。

4 件のコメント:

  1. はじめまして。お世話になっている声楽家の方から,こちらを紹介していただきました。
    実は私は5日のサントリーを聴いたのですが,前半だけでもう気分が悪くなって出てきてしまいました。とても音楽的な構成とは思えなかったし,流れを無視するようなテンポの動かし方や強弱のつけ方が,私には耐えられなかったのです。前半の様子は,ブラームスがなかった以外,楽譜の使い方など同じでした。
    ポゴレリチ,以前はまだ音楽として成立していたと思うんですが,どうなってしまったんでしょうか。

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  2. ekaさん、はじめまして。
    「気分が悪くなって出て」というお気持ち、おなじです!
    私もはじめのうち、なんとかして音楽をたどろうとし、そこに込められた解釈を聴き取ろうとしたのですが、肝心な音でミスタッチしたままビヨーンと間延びしていたり、時折「あれ?」というかんじで楽譜を凝視している演奏者をみて、「超メジャーな曲をあえて初見演奏できるかどうかの実験」の舞台に居合わせる喜びに胸がゲロゲロと高鳴りました。

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  3. マイミクの√ポンです、ご無沙汰してます。
    私の行き付けの喫茶のマスターに、このリサイタルを聞いたという客の感想を今日聴きました。ご愁傷様だったようですね。
    そういえば、この奏者名の日記どこかで見たゾ!って感じで、
    おためしさんの日記を思い出して再度覗いてみました。
    いつか私の演奏も聴いていただけたらーと思います。
    √ポン

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  4. あるわけねーだろ、相互理解とかってゆー薔薇族的語彙なんぞ。

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