彼は、シオンの用語法を参照しながらも、心から納得はしていないようで、「自然音と不自然音」という用語法を用いて、論を展開している。私としては、この立場もわかりたい。だから図式的にメモしたいのだが、どうもうまくいかない。
彼はこう書いている。
「自然音」とは、スクリーン上に継起する仮構の世界が本来有していると思われる音で、各ショットごとにその画面上で自然に聞こえてくるものを指すことにする。「イン」と「フレーム外」の音の全てで、スクリーン上の世界で通常聞こえてくるであろうと類推される物音の一切、そして登場人物の発する声がそれである。「不自然音」とは、「自然音」とは逆に、スクリーン上に継起する仮構の世界が本来有してはいないと思われる音で、各ショットごとにその画面上で(聞こえてはこないはずなのに)聞こえてくるものを指す。ナレーションやモノローグといったヴォイス・オーヴァー、聞こえないはずの自然音、そしていわゆる映画音楽がこれに該当する。(52ページ)ここまでだと右図のようになるが、
問題は以下の文言である。
ミシェル・シオンの三等分円の図式を敷衍するならば、映画の音声は、自然音としての円と不自然音としての円の二つを重ね、その全体を三等分して、そこに「音楽」「ことば」「その他の音」をあてはめたものとして図式化できるように思われる。そしてその全体が、各レベルで相互に逸脱しながら、二つの円の間でもお互いに影響を与えつつ流動するものとして、映画の視覚像の基礎となるひとコマひとコマの上に重なっている。(59ページ)この文からよみとれるのは、ABどっちの図でありましょうか?
円はどう重ねるのでしょうか?
0 件のコメント:
コメントを投稿