2011年9月12日

9月27日 檜垣智也さんのアクースモニウム・リサイタル

檜垣智也さんのリサイタル(9月27日/アクロス福岡1F円形ホール)の案内をいただいた。

檜垣さんは、愛知県芸で作曲を学んだ後、パリで「アクースモニウム」を修業して、この新しい音響芸術の世界を、創作・上演の両面から紹介しているサウンド・アーティスト。
私はJ.-Y.ボスールの『現代音楽を読み解く88のキーワード』を翻訳する際、「アクースモニウム」の項目はもちろん「電子音響音楽」の項目も、ずいぶん助けていただいた。

... 「アクースモニウム」は、ホール内に16個以上のスピーカーを縦横に配置して、録音作品の上演中にどんどんミキサー卓を操作し、個々のスピーカーの個性を際立たせながら、様々な大きさ・距離・方向から「音響スクリーン」を形成する芸術。ミキサー卓の操作次第で、ニュアンスやコントラスト、立体感や動きが生まれるという、いわばスピーカー群によるオーケストラ。この喩えでいくと、ミキサー卓に座る人は、いわば指揮者にあたると思うんだけれども、この領域に通じたフランソワ・ベルなんかは、アクースモニウム自体を「聴感を演出する楽器群」と表現しているほどなので、彼のイメージの中で「アクースマット」は指揮者というよりスピーカーを鳴らす演奏者という位置づけなのかもしれない。響きの出来事を視覚的に提示するソフトウェアとして「アクースモグラフ」も開発されていて、仏独では、かなり定着しているらしい。

9月27日には以下5作品が上演される。
・檜垣智也『Incorporeal』
・今史朗『生命の水』
・中村滋延『Passion』
・パルメジャーニ『La Roue Ferris』
・デュフール『変態』

残念なのは、私には、まだこの「アクースモニウム」という領域について、耳でアプローチし、上演の有様を記述したりする力がないこと。その力があったら、いろいろな場面で書きたいのだが・・・

いわゆる伝統的なクラシック音楽に関しては、聴音・視唱の訓練15年を経て、くり返し再生可能なCD評からスタートし、それを5〜6年も続けてから、ようやく演奏会評にとりかかるにいたった。その演奏会評だって、事前にNaxos Music Libraryで曲目をゴリゴリ予習してから臨んでいる。
しかしアクースモニウムの場合、上演される曲目はほとんど初聴の曲ばかり。
独仏ではかなりメジャーなアート領域だというけれど、日本に暮らしているかぎり、耳を鍛える方法も、言語化された評がどんな聴き所をたよりにしているのかも、心許ない。

とはいえ、今は地道に、トレーニングするのみ。
事前に入手できる曲が2つほどあって、私の恩師で元上司の中村滋延先生の『Passion』は聴くチャンスあるし、パルメジャーニの『La Roue Ferris』についてもiTunesに載っかっているのをみつけたぜい。
http://itunes.apple.com/jp/album/la-roue-ferris/id315769301?i=315769397&ign-mpt=uo%3D4

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