2009年11月17日

ゼロの焦点

松本清張作品の映画化をみよう、ということで、でかけた。
万が一、脚本なり編集なりがつまらなくても、夫は広末涼子さん、私は中谷美紀さんを鑑賞しましょうと。

ドーンと重い内容であった。

舞台は戦後の復興期。
禎子さんは、お見合いの席で、「銀座の思い出は亡くなった父とアイスクリームを食べたことです」などという。とても可愛い黄色のフリル・ツーピース。
こういう、苦労を知らずシンプルであるというだけで愛される女性というものを、人に言えない苦労をした女性が、本質的に異世界のものとして見ている。彼女にとって、苦労の時代を共にした男性は世界の媒介になっていて、その男性が純朴な女性と結ばれようとした時、複雑な思いの全てが彼への憎しみに変わる。
こわくて、かなしい。

2 件のコメント:

  1. 原作も何度も読みました。原作は名作ですよ。いまだに松本清張の評論が出ているというのは,この作家は本当にすごいものです。この映画は1961年版の 野村芳太郎監督のものもぜひ見てください。久我美子が広末涼子と同じ役柄で出ています。久我にとってはこの役ははまり役です。広末涼子はあまり見る気がしませんな。

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  2. 原作がすごいだろうというのは,当然として,なかなか読めずにいたので,私も映画を観ました。いやはや,確かに「重い」
    松本清張の作品は,人間の弱いところを見事にえぐりだして,犯罪という形で表現してしまいますね。この凄さがすさまじいと,改めて思いました。

    でも,昭和の30年代の再現も私にとっては感動的でした。銀座はこんなだった(森永やソニーは記憶にあります),金沢の電車はこんなだった(未知の風景),あの頃の車は,・・・

    よく再現できたなぁ,これもすごいなぁ,と思いました。

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