行けたコンサート一つと、行けなかったコンサート一つについて。
14日 Adile「プーランクの夕べ」あいれふホール
とても楽しかった。
Adileのフルート奏者になっている中西久美さんはRKBのアナウンサーで、音楽と報道のどちらが本業かというと、たぶん後者にちがいないのだが、トークの要点がまとまっていて声にメリハリがあるおかげで、曲目紹介が、すっと頭に入ってくる。
演奏はちょっと逐語的というか、フレーズの開始部分の溜め感が若干説明過剰で重たく感じられたのが残念。第1楽章はたしかに「メランコリック」と指示されているけれど、第1主題の確保のところとか、もっとササッと前に進んだほうがオシャレな音楽になると思う。melancholicはmelancholiacって訳ではないし。
「クラリネットとファゴットのソナタ」では、あれ?佐藤貴宣さんてもっと流暢な人じゃなかったっけ? と思ったのだが、彼の良さは、「ピアノ・オーボエ・ファゴットのための三重奏曲」で全開になった。叙情性と軽やかさの奏法差がしっかり埋め込まれた作品で、オーボエの桐谷美貴子さんも巧いし(オーボエ・ソナタも聴きたかったよぉ涙)、とってもかっこよい音楽になっていた。第2楽章の2者のかけあいで、ベルリオーズ《キリストの幼時》第2場のヘロデ王のアリア(後半のオーケストラとのかけあい)を思いだし、帰宅してから聴きなおしてみたが、旋律的にはべつに似ていなかった。拍のとりかただろうか。
クラリネットの古賀久美子さんも、上記のデュオより「ソナタ」のほうが際立っていた。ただあいれふホールは、よく響くだけに、この奏者のソフト系というよりは尖り系の特性はどうしても耳にさわりやすい空間であった。もう少しデッドな空間なら、ものすごく印象的な演奏だったかもしれない。
全編をとおして、ピアノの徳あおいさんの豊かな表情づけに感服。
それから、このコンサートは、1曲ごとに主奏者のトークを交えて展開する形式だったので、せっかくだし、アンコール曲がなんなのか教えて欲しかったなー。
17日 舘野泉ピアノリサイタル あいれふホール
〜彼のための音楽を彼が弾く Vol.3 2009〜
知人が出かけた。
このコンサートでは、開場15分(=開演15分前)の時点で、すでにプログラム冊子が足りなかったらしい。
その知人は即席作成のA4ペラ1枚をもらって入場し、周りの人が16頁綴りの冊子を持っているのを見て、受付に「プログラムは有料ですか?」と尋ねたところ、受付係から「A4のほうも中身は同じですので」と説明されたそうである。そんなわけないじゃん! と、いたくご立腹であった。
たしかにこの出来事は、傍できいても、コンサート運営意識の低さという面で苛立ちを感じる。舘野泉さんは聴衆をとても大切にしていて、毎度、聴衆へのメッセージや曲目解説などの情報をたっぷり準備しているアーティストだし、今回のような委嘱新作作品ばかりのリサイタルツアーでは、作品解説がとても大切な情報源。まして料金は4800円もする立派な興行。
予想外の盛況だったということだろうから、その点にはお慶び申し上げるが、そういうムチャクチャな説明をしてごまかしたりせず、聴衆と正直に向き合うべきだ。このホールの近くには、市内有数の大きなキンコーズだってあるのだし「休憩時間までにコピーを作ります」とかなんとか、対応の道はあったはず。
「そういうムチャクチャな説明をしてごまかしたりせず、聴衆と正直に向き合うべきだ」は,まったくその通り。人間誰しもミスするもの。大切なのはミスをした時の対応です。お客にどうして平気で嘘をつくのでしょうか。16ページの冊子とA4ペラ1枚が同じ中身のわけがありません。お客は主催者から二重に嘘をつかれたことになるのです。
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