2009年10月15日

がっくり科にも翼

楽理科受験の高校生のレッスン。
芸大楽理の説明会に行ったそうで、現在、同学科の競争率は1.2倍だそうである。

競争率1.2倍!

ギンギラ太陽'Sの『翼をくださいっ!』に出てきた
「スカイマークは1日3便でぇすかー!?
 それはぁ1, 2, 3の3便ですかー?
 つまりone two threeの3便ですかー?」
を思い起こさせる。
そういうたぐいの数字だ。

近頃の高校生にとってたいへん重要らしい「将来設計」が定まりにくいわりに受験科目があまりに特殊な楽理科っちゅうものを前に、
折しも音楽環境創造学科ができ、
「新しいものを追求する人材になれる」上に、ぱっと見「受けやすい」かんじの
学科にシフトした受験生が多かったのが、最大要因らしい。

とはいうものの、
楽理科を卒業した私たちが
たぶん社会に十分アピールできていないのだということを
振り返らなければいけないだろうと思う。

いったいどうしたもんだべか。

『音楽芸術』なくなっちゃったしねえ。
『レコ芸』『音楽の友』は、音楽学するかしないかとは関係なく楽しめるしねえ。
ロングセラー『名曲解説全集』は、
「展開部を省略したソナタ形式」が好きだしねえ。

音楽学をめぐる社会的状況についての悩みは尽きないが、
ともあれ、音楽学は「個々の自分」にとって、本当に楽しい領域のはずだ。

音楽学者は、概して言えば、
演奏という形でも、創作という形でも、音楽にかかわることがないが、
しかし、演奏者・創作者の仕事を追体験したり、手伝ったり、できる。

ああお願いだから、中学高校に特有の
一斉的・定期的な「進路指導」をやめちゃってもらえないものだろうか。
「あなたの学力ならココ」「あなたの適性はこう」なんてことを
一律に言っているかぎり、人生は功利主義の罠にはまったままだ。

たぶん一律の問題は、いざとなれば「個々の自分」で解決していける。
だって、学生時代はあんなに甘えん坊だった大学生たちが
就職した途端、それぞれ方々でキリリとするじゃないの。
一斉に卒業した後は、個々に頑張って開拓しているんだよ、きっと。

若い人に「無限の可能性」を感じているなら、
学生の間ぐらい、
闇雲で、五里霧中な欲求を、
メラメラと燃え上がるままにさせておいてほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿