2009年10月20日

女性教員処遇問題 

学科内のコース会議で、
「来年、前期を育児休暇にさせていただきたいのですが」
と言ったら、
「じゃ前期は4コマ非常勤ね」と
当たり前のようにオーケーしてもらって、
しかも
「ほんとに半年だけでいいの?」なんて
念押しまでしてもらったので、
  なんて良い学校なんだ〜〜 ♪
とルンルン。

というのも、

私が知っているある学校環境においては、
助教の女性が6月出産という予定を事務局に届けた折、
職員の女性から
「なぜ8月をねらわなかったんですか。
 今回の妊娠については、考え直す必要があるのでは?」
と言われたそうである。
それも、非常勤手当を減らすためだけに・・・・。


赤ちゃんが生まれたら、可愛くて、一時も離れたくなくなるのは目に見えているけれど、今居るゼミ生と継続的に関わるチケットをなくさないために、半年間で目処をつけることにした。前期に継続指導しつつ、後期に正式開講・成績をつける、という道を確保するには、休暇は半年に限る必要がある。

苦渋の、でも、自由にもとづく決断。


そのようなわけで、西南の学風にメチャメチャ感謝しているところであったが、
さらに先日、「現状で何か問題がないか考えるために女性教員の皆さんの希望についてヒアリングを」という打診をうけた。たとえば、「休暇中にゼミ生を継続指導するには、労災のきかない出勤を余儀なくされる。この二者択一状態(休暇か非公式出勤か)は、教員個人のストレスだけでなく、学校にとっても、専門性の継承にダメージがあるのではないか。完全に休業してしまうのではなく、病中や産後における低ノルマ出勤のような制度設計を提案すべきなのではないか。そもそも大学教員の業務は"休暇"という概念と相容れない」と発案者は言う。


すばらしい。 まだ改善するっていうのかっ!


すでに恵まれている状況を、さらに改善するにあたっては、「贅沢すぎるんじゃないだろうか」との迷いが生じる。


しかし、その発案者は言った。


たしかに、あれもこれもと望むのは贅沢すぎるっていう考え方もありますけど、じゃ、「他の学校はもっとたいへんなんだから」っていう理由で、改善の可能性とか夢を全部放棄しちゃうのは、停滞と退化の思考しか生みませんよ。極端に言ったら、派遣労働者が雇用の安定を求めてるときに、「中東の難民はもっとたいへんなんだぞ」って要求をはねる発想でしょ。


なるほどねー。

6 件のコメント:

  1. すばらしいですね。
    もし私に子供ができたら、同僚はどんな反応をするだろう? 私のいる学科は創立以来(40年?)、私以外の女性がいたことがないので。理系他学科の私の知っている女性助手さんは寿退職が多いし。事務系女性職員は皆さん残っているんですが。

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  2. 「創立以来私以外の女性がいたことがない」とは・・・。
    生活の様々な場面でのご心労・ご苦労がしのばれます!
    せっかく専門性をきわめた研究者が
    「寿退職」というコースなのは、もったいないですね。

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  3. 西南学院、スバラシイですね~!

    日本社会の中の組織において、構成員みなさんがそういう風に考えられるようになる、その根源やきっかけはどこにあるのでしょう?
    組織の長?組織が創立時からもつ思想?財政的豊かさ?採用する構成員の選別?
    女性や母親が不当な扱いや苦労を強いられる組織は、どうしたら変わっていけるのでしょうか…。

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  4. あかまっこさん。
    ええ、ほんとうに。
    たぶん、この組織は、同じ組織で同じ女性どうしなのに「なぜ8月をねらわない」などという圧力をかけてしまう心性からは逃れていて、それぞれの心性がどうやって成立するのか、考え込んでしまいます。
    西南の特質で、少し感じるのは、文系総合大学として、一元化されていることもあって、本数主義や効率主義が幅をきかせる場がほとんどないことです。教員が、互いの研究成果について、数で「すげー」と思うことなく、たった1本でも読んで(or聞いて)理解して納得して敬意を抱く、という習慣があり、それによって、お互いの環境についての想像力が高まっているような気がします。
    その分、業績本数を稼ぐ意識が低く、「大学ランキング」みたいな場では、そうとう弱そうですが...。

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  5. いい環境の大学のようで、本当によかったですね!
    いわゆる「大学ランキング」なんてそもそもさして重要な意味ないですし・・・。
    「本数主義や効率主義」って、そのまま私の勤務先に当てはまります。多くの教員が他の教員の研究内容には殆ど興味がなさそうで、自分は自分のしたいことだけしていかに業績の本数を稼ぐか、そして自分の業績につながる場合にだけ他の教員と協力しているようにさえ見えます。
    数年前にウチの大学を定年退職した女性教員も、結婚したての頃に「子供産みたいなら職場に迷惑かけないように夏休みをねらえ。」と上司の男性教員から(!)ハッキリ言われたと言ってました。まぁそれは30年位前のことですが、でも驚きました。「教員養成大学・教育学部」がですよ!!
    もちろん昨今はそんなことは言われませんし、表向きには「女性が働き易い」とか「子育てを支援する」と謳って、制度は整いつつありますが、教職員個人の中には全く昔ながらの意識の人も少なくないようで、同世代の就学前の幼児をかかえている女性教員は主任や早朝・夜間・休日出勤を平然と命じられ、同僚と家庭の話や子供の話さえできない・・・と言ってます。私自身も育児休業から戻ってきてしばらくは「周囲に迷惑かけたことを忘れるな」的な雰囲気の同僚がいたのも事実です。
    本当に変わって欲しいのは、人間として、研究者としての「意識」だなぁとしみじみ思います。
    長くなってごめんなさい。

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  6. 「本当に変わって欲しいのは、人間として、研究者としての意識だ」というお言葉、胸にしみます。

    言表を避けますが、私も、表向きの制度とうらはらに、内部で「迷惑をかけたことを忘れるな」的態度の職場をみてきました。そういう職場では、子供を持った女性がミラクル忍従かミラクル開き直りのいずれかの道をとらざるをえなくなっているように思います。それによって、周囲の理解をいっそう妨げるという悪循環も生じがちで、はたでみていても悩みは尽きません。

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